看護師が知っておきたい脳出血と嚥下障害

視診、触診による脳神経のアセスメント

第X脳神経:三叉神経

 

三叉神経は、顔の感覚や舌の前3分の2の温痛覚を司る感覚神経と、
口を開いたり、咀嚼運動をする運動神経からなっています。

 

顔の感覚は、三叉神経のV1:眼神経、V2:上顎神経、
V3:下顎神経の三つの枝それぞれに担当するエリアが異なります。

 

額、頬、顎を左右交互に触れ、
触覚に左右差がないかどうかを確認します。

 

三叉神経の第3枝(V3)は、口を開いたり、
食べ物を咀嚼するときに使う咬筋や側頭筋を司っています。

 

頬(咬筋)や側頭部(側頭筋)に手を当てて、
患者さんに歯を食いしばるように力を入れてもらうと、
筋肉の盛り上がりを触れることができます。
筋肉の盛り上がりを触れることができれば正常です。

 

第Z脳神経:顔面神経

 

顔面神経は、顔面表情筋、アブミ骨筋という運動系、
舌の前3分の2の味覚、外耳道、鼓膜の温痛覚という感覚神経、
唾液腺、鼻腺、涙線の副交感神経を司る神経です。

 

運動系の顔の表情筋のアセスメントは、
患者さんにいろいろな表情をしてもらい、
左右差がないかどうかを確認します。

 

・表情筋のアセスメント

 

(1) 前頭筋: 眉を上げて額にしわを寄せる

 

(2) 眼輪筋: 目を閉じる

 

(3) 口輪筋: 頬を膨らませる

 

(4) 頬骨筋・口輪筋: 歯を見せて「いー」と発声してもらう

 

顔の上部は、脳の両側から指令を受けることができます。

 

顔の下部は、反対側の脳からのみ指令を受けます。

 

ですから、脳血管障害が片側の場合は、
両側支配の顔面上部は額にしわをよせることができます。

 

ですが、一側支配の顔面下部では、
病巣とは対側の口角は上げることができません。

 

第\脳神経:舌咽神経、第]脳神経:迷走神経

 

舌咽神経と迷走神経は、運動系、感覚系、副交感神経の成分を含む混合神経です。

 

・口蓋垂と軟口蓋のアセスメント

 

(1) 患者さんに口を大きく開けてもらい、「アー」と発声してもらいます。
   軟口蓋が左右対称に上がるか、口蓋垂の傾きがないかを確認します。

 

(2) 舌圧子で舌を押さえたり、ペンライトを使用すると、
   容易に確認することができます。

 

(3) 舌咽神経と迷走神経は、脳の両側から刺激を受け取ることができます(両側支配)。
   ですから、片側の病巣では、異常は出現しません。

 

・喉頭挙上のアセスメント

 

(1) 患者さんに空嚥下をしてもらいます。

 

    甲状軟骨(喉仏)の真上に第2指(示指)または、第2指と第3指(中指)を添え、
   患者さんに空嚥下をしてもらい、挙上のスピードや挙上距離などを確認します。

 

(2) ごっくんと嚥下をするときに、甲状軟骨が上がり、
   喉頭蓋が気管の入り口を防ぎます。
   甲状軟骨が一横指以上挙上するかどうかを確認します。

 

第XU脳神経:舌下神経

 

舌下神経は、舌の運動を司っている神経です。

 

舌下神経は、一側支配で脳の片側からしか指令を受けないので、
片側に病巣がある場合にも症状が見られます。

 

患者さんに舌を前に出してもらいます。

 

中枢の片側の障害では、舌が病巣とは反対側(健側)に偏ります。

 

両側の障害の場合は、患者さんは舌を出すことができません。