看護師が知っておきたい脳出血と嚥下障害

脳出血による摂食・嚥下障害のある患者さんのフィジカルアセスメント

脳血管疾患のある患者さんに傾向摂取を始める前には、
まず、嚥下機能のスクリーニングとフィジカルアセスメントを行い、
患者さんの摂食・嚥下機能を評価した後、
経口摂取の開始となります。

 

嚥下のスクリーニングテストには、
反復唾液嚥下テスト、水飲みテストなどがあります。

 

そして、スクリーニングの前には、口腔ケアを行うことが必要です。

脳出血による摂食・嚥下障害のある患者さんのフィジカルアセスメントの流れ

(1) バイタルサインの評価

 

バイタルサインの測定を行います。

 

観察ポイント

 

・意識と覚醒状況: 意識レベルが低下していたり、傾眠状態では摂食・嚥下に影響があります。

 

・体温: 誤嚥性肺炎による発熱に注意します。

 

・血圧: 再出血を防ぐために、血圧のコントロールが重要です。

 

・呼吸: 特に食事前後での変化に注意します。食事中のSpO2にも注意します。

 

(2) 問診

 

問診を行います。

 

観察ポイント

 

・むせ: 何でむせるのか(どのような食品でむせるのか、
さらさらな飲み物でむせるのか)、
どのようなタイミングでむせるのか(食べ始めでむせる場合は、
嚥下反射のタイミングのずれが考えられ、
食事途中でむせるのであれば、嚥下筋の易疲労が考えられます。)

 

・咳: 食事中・食後に集中する咳は、誤嚥、食後臥床時に起こり、
胃食道逆流による誤嚥の疑いが考えられます。

 

・痰: 食べ物の混入、食事を始めてからの量の変化に注意します。

 

・声: 食事中・食後の声の変化に注意します(ガラガラ声の場合は、
咽頭残留、喉頭侵入が考えられます)。

 

・食欲低下: むせたり、苦しいから食べないなどが考えられます。

 

・食事内容: 食べやすいものだけを選んでいるかどうかを観察します。

 

・食事時間: 30〜45分以上の場合は長い、または極端に短い場合は注意して観察します。

 

・食べ方: 口からこぼれる(口唇閉鎖不全)ことがないかどうか、
     上を向いて食べていないかどうか(咽頭への送り込みの障害)を観察します。

 

・口腔内の食物の残留: 口腔内の知覚障害や、舌の運動障害があると
           口腔内に食べ物の残留が見られます。

 

・食事中の疲労

 

構音障害

 

問診のときに、構音障害を観察します。

 

舌、口蓋、口唇、咽頭など、発声にかかわる器官の障害によって、
発音や抑揚、スピードなどが障害されることを「構音障害」といいます。

 

発音しにくい音によって、障害の可能性がある部位を特定することができます。

 

問診のときの患者さんの言葉を注意するようにします、

 

ラ行・タ行 → 舌の動き(舌下神経)
サ行 → 歯の欠損やかみ合わせ
パ行、マ行 → 口唇の動き(顔面神経)

 

(3) 視診

 

視診を行います。

 

観察ポイント

 

・口角下垂、流涎(りゅうぜん)の有無を観察します。

 

・表情筋の動きを観察します。

 

・口蓋垂の位置・偏り、軟口蓋の挙上の左右差を観察します。

 

・舌の動きや偏りがないかどうかを観察します。

 

(4) 触診

 

触診を行います。

 

触診のポイント

 

・顔面の感覚(頬、額、顎の左右差)を観察します。

 

・歯を食いしばったときの頬部、側頭部の筋肉隆起、
嚥下時の咽頭挙上を観察します。

 

(5) 聴診

 

聴診を行います。

 

観察ポイント

 

・頸部 : 嚥下前後の呼吸音の変化を観察します。

 

・肺音 : エア入り、副雑音の有無(誤嚥性肺炎は右下葉に起こりやすい)を観察します。